金木犀は僕の誕生日の匂い

今日は元夫のお誕生日です。

「もう…あかんわ…」私がそう言ったときの夫の目を忘れません。

私が一人で住むアパートから、夫は娘を連れてトボトボ歩いて帰りました。雪が降る寒い日で駅まで「タクシーで帰ったら?」と言いましたが、夫は「いや…歩いて帰る。」…って言いました。

二人の後ろ姿を見えなくなるまで涙で見送りました。あの日の二人の後ろ姿を思い出すと、今も必ず涙が出ます。


夫はサラリーマンでした。毎日朝早くから、遅くまで…辞めたいときもあっただろうと思いますが、私と娘のために家族のために、働いてくれました。夫婦ですから…いろいろなことはあったけど、離婚は考えていませんでした。いつか…娘が嫁にいったあとに、夫婦の穏やかな時間がくると信じていました。


離婚が成立しても、私は夫が笑って暮らしてほしいと心から願ってました。なら、別れなきゃいいじゃない…と言われるけど、一緒に暮らす自信があのときはなかった。


夫はフェイスブックをしていて、プロフィール画像が寂しそうな顔をしていたので、「楽しい画像に変えてほしい」と言ったら、すぐに笑った画像に変えてくれました。10年前です。それからずっと画像は変わってません。


夫は…若々しくて、容姿もステキな人。何より暖かい優しい人です。良い人と再婚をして幸せになってほしいです。


母に「Hさんを幸せにしてあげなさい。」…

そう言われていたのに、幸せにしてあげられなかった。


離婚してから、私にも素敵な人との再婚の話しがありましたが、娘のことを考えてできませんでした。でも、夫のことも頭の片隅にありました。

夫の幸せを見届けていたら…再婚したかもしれません。


「なら…別れなきゃいいじゃない」


あのとき別れなかったら…

今の気持ちになっていたかはわかりません。


昨日、動物園に行って年間パスポートを買って夫に送りました。動物園なんて…

は興味ないかもしれないけど…


パパ、お誕生日おめでとう